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オーストリアで起こった近親姦のニュースがここ英国でも毎日報道されています。
73歳のJosef Fritzlが実の娘のElisabeth(42歳)を18歳の時から24年間、自宅の高さ1.7mの地下壕に監禁し、虐待と強姦を繰り返しました。その結果生まれた7人の子供の内、双子の一人は出産時に死亡。そのうちの三人(16歳、15歳、11歳)は「新興宗教にはまって家出した娘が自宅のドアの前に世話をするように手紙を残し置き去りにしていった」ということにして正式にJosefとその妻Rosemarieが養子として普通に育てました。残りの三人(19歳、18歳、5歳)は生まれてから今まで日の当たらない地下壕で母親と共に暮らしてきました。 今回、この事件が日の目を見たのもその19歳の女の子が重い病気にかかりそれを病院に連れて行くことをJosefが許したのがきっかけです。 平凡な市民として暮らしていた「おじいさん」のあまりにもグロテスクな生活にそのなぜを探るためにいろいろなアプローチが為されています。 子供たちの唯一の外界との接触は「テレビ」。母親は常々「上のほうに天国があるのよ」といっていたそうです。 子供たちが生まれて初めて外の世界に出た時に5歳の男の子が空のほうを指差して聞いたのは「あそこに神様がいるの?」 昔々、高校の時に読んだRay Bradburyの短編小説の一つを思い出しました。確か、男の子は大きな屋敷の中で育ち、母親との二人暮しで、外に出ることを禁じられています。誕生日ごとに部屋の一つがプレゼントとして開けられそこへの出入りが自由になります。そして母親が死んだ後、少年は初めて外に出る、といった筋書きだったはず。 この作品をもう一度読もうと思い立ったのはいいのですがRay Bradburyは多作なのでそれがなんと言う題名なのかどの本に収録されているかが分からないとお手上げです。 Googleであれこれキーワードを入れて検索したのですがやはりお手上げ。そこでRay Bradburyの日本ファンクラブにメールを書いたらすぐ教えていただきました。 「The October Country」に収録されている「The Jack-in-the-box」だったのです。 どうしてもすぐ読みたくてAmazon.co.ukで買うよりももっと手っ取り早くここの図書館で借りられないかと思って検索してみると私の住むところからはちょっと離れたところの子供専用の図書館に一冊ありました。10代の子供のフィクションの棚に並んでいるとのこと。 はりきっていってみると何べんチェックしても見当たりません。図書館司書にチェックしてもらうと「あ、これは最後に貸し出したのが2000年だね。それから戻ってきてないんだよ。これはGCSE(英国の中学校卒業時に受ける資格試験。)に出ることになっているから持ってっちゃったんだろうね。。。子供に対する罰則は無いからどうしようもないんだよ。」 それではやっぱりamazonで買うしかないかと思いつつ家に帰り、しかし息子が確かRay Bradburyの本を持っていたことを思い出しました。屋根裏部屋をチェックしたらそれが「The October Country」でした。。。 見事に忘れていた詳細を読みながら、今回心を打たれたのは外に出た少年の行動。見るもの聞くもの全てが新鮮で嬉しくてしょうがない彼の行動はそれを目撃した警察官の口から語られます:「子供ってわからないねぇ。いや、ちょっと前に少年が走り抜けて行ってね。笑ったり泣いたりしながら。ぴょんぴょん飛び跳ねながら物を触りまくるんだ。街灯や電柱や消火栓や犬や人をね。。。そして俺を捕まえて、俺と空を交互に見ながらその目には涙があふれているんだ。ずっとおかしなことを口走りながらね。『I'm dead! I'm dead! It's good to be dead!』 少年の世界は本当に限られていたのです。「ここを出たら死ぬ」とだけ言われて育ってきましたからそこを離れた彼は「死んだ」ことになるのでしょうが、それはまったく新しい感覚を与えてくれたでした。 Elisabeth一家がこれからどう「正常」な生活に対応していくのか。果たして適応は可能なのか。もちろん誰も今のところこの問いに答えることはできませんが、ほとんど不可能であろうと言われています。果たしてそうでしょうか。
by yy-mari
| 2008-05-04 18:45
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